オーディオ機器・スピーカー木部修理・塗装
スピーカーのエンクロージャー(木箱)は、単なる入れ物ではありません。
それは楽器のボディと同じく、音の響きを決定づける重要な要素です。
経年劣化した突板(つきいた)の剥がれ、塗装の白化、木部の傷…これらは見た目だけでなく、愛機への愛着、ひいては音楽への没入感さえも損なわせてしまいます。
イー家具屋は、日本一の家具産地・大川の木工技術を駆使し、JBL、TANNOY(タンノイ)、YAMAHAなどの名機を修復。
音響特性に影響を与えないよう配慮しながら、木部の補修、再塗装を行います。
「良い音は、良い木から」。オーディオファンの皆様のこだわりに応えます。
【主な対応内容】
- エンクロージャーの再塗装:傷や白化剥がれた塗装を研磨し、ウレタン塗装で再生。
- 突板(つきいた)の補修:剥がれた表面を修復し、美しい木目を復活させます。
- オーディオ機器木部修理:レコードプレーヤーやアンプ等の木枠にある傷や塗装剥がれの修理を行います。
- スピーカーボックス製作:ユニットに合わせたオーダーメイドの箱作りも承ります。
Case: 英国の至宝 TANNOY Westminster(タンノイ ウェストミンスター)全塗装・修復
Case: YAMAHAスピーカー 全塗装・マット(艶消し)カスタム
傷と光沢を消し、モダンな装いへ
「若い頃からの相棒」を、今の部屋に合う姿に
オーナー様が若い頃から大切にされてきたYAMAHAのスピーカー。
「音には満足しているが、筐体の傷が目立つ」「昔ながらのテカテカした光沢が、今のインテリアに合わない」というお悩みでした。
そこで今回は、単に元通りにするのではなく、あえて艶を消した「マット仕上げ」をご提案しました。
家具職人の「引き算」の美学
YAMAHAやJBLなどのビンテージ名機は、見た目の劣化で手放されてしまうことも少なくありません。
イー家具屋では、家具塗装の技術を応用し、古い塗装膜を丁寧に研磨・剥離。
音質への影響を最小限に抑える下地処理を施した上で、光を吸い込むようなマット塗装を行いました。
傷が消えただけでなく、重厚感とモダンさが同居する、大人のオーディオへと進化しました。
Case: プロオーディオ業者様ご依頼 - 難易度S級・スピーカー筐体破損修復
「時を経た色」を再現する、究極の馴染ませ技術
新品の突板ではダメな理由
オーディオ専門業者様より、スピーカー側面の破損修理と突板(つきいた)の部分張替をご依頼いただきました。
この修理の最大の難関は、「エイジング(経年変化)の合わせ」です。
スピーカーは長年の設置環境により日焼けや退色をしています。そこに「製造したての新しい突板」を貼ると、その部分だけ浮いてしまうだけでなく、将来的な色の変化(ズレ)も起きてしまいます。
そのため、木目が似ていることはもちろん、あえて「多少日焼けしている在庫」の中から最適な突板を探し出す必要がありました。
0.1ミリの段差も許さない下地作り
破損して凹凸になった木部を、突板が貼れる平滑な状態に戻す作業も困難を極めました。
下地を完璧に整え、新しい突板を貼り、既存部分との段差を完全に無くす。これは卓越した技術を持つ職人にしか不可能な領域です。
仕上げに、ペアとなるもう一方のスピーカーと違和感がないよう、他の打痕傷も修復しつつ、塗装の色調整で「修理箇所が全くわからないレベル」まで馴染ませました。
全てにおいて高難易度な、職人魂を込めた修理です。
Case: 映像・音響クリエイター様ご依頼 - タンノイ筐体への異種ユニット移植
理想の「音」を追求する、規格外のカスタム
「どうしても、この箱に、このユニットを。」
映像・音響のプロフェッショナルであるクリエイター様からのご相談です。
「愛用しているタンノイ(Tannoy)のエンクロージャーに、どうしてもこの特別なスピーカーユニットを取り付けたい」。
しかし、サイズも規格も全く異なるため、そのままでは取り付けられません。オーディオファンにとって、理想の音の追求は妥協できない聖域です。私たちはその熱い想いに、大川の木工技術で応えました。
ミリ単位の「拡張」と「掘り込み」
本来の穴サイズが異なる場合、ただ穴を広げれば良いわけではありません。
熟練の職人が、ユニットのフランジ形状に合わせて「穴の拡張」や「深さの彫り込み(ザグリ加工)」をミリ単位の精度で行います。
これは単なる木工加工ではなく、気密性や振動など、音響特性を損なわないための高度なリペア技術です。
サイズ違いのスピーカーが、まるで純正品のように吸い付くように収まる。その精緻な仕上がりを実現しました。
Case: 90年前の蓄音機 - 祖父の想いと、二つの専門技術の融合
「本物」だけが持つ物語を、次世代へ
厳しいプロの目利きを超えて
大正~昭和初期、約90年前に作られた蓄音機。
当初、機械部分の修理を依頼された静岡の専門店様からは、「オークション等で入手した偽物(模造品)なら修理しない方がいい」と助言があったそうです。
しかし、これはご依頼者様の御祖父様が購入され、代々家で大切にされてきた正真正銘の「家宝」。その想いが伝わり、修理プロジェクトが始動しました。
木部は大川、機械は静岡。技術のバトンリレー
弊社が担当したのは、経年劣化で傷んだ「木部(箱)」の再生です。
長い時を刻んできた木の風合いを損なわないよう、慎重に修復を行いました。
まずは、弊社での木部修理の様子をご覧ください。
そして、ついに音が蘇る
木部修理が完了した時点では機械が手元になく、私たちは音を聞くことができませんでした。
しかし後日、ご依頼者様より感動的な動画が届きました。
静岡の専門店様の手で機械部分も蘇り、私たちが直した箱の中で、90年前の音色が再び響き渡ったのです。
それぞれの職人がベストを尽くし、想いがつながった奇跡の瞬間をお聴きください。
Case: JBLスピーカー 破損修復 - 「臍(ほぞ)組」による構造的再生
重量を支える「木工屋」の意地と技術
「音」は保証できませんが、「木」なら任せてください。
JBLの重量級スピーカー。その重さゆえに、天板部分が耐えきれず折れてしまったというご依頼です。
私たちは家具屋であり、音響の専門家ではありません。「音の変化については責任を持てない」旨をご了承いただいた上で、あくまで「木製筐体の構造修復」としてお引き受けしました。
しかし、木のこととなれば話は別です。
見えない内部で「臍(ほぞ)」を組む
折れた原因は、その凄まじい重量に対し、構造的に負荷がかかる部分だったこと。
ただ接着するだけでは、また同じ場所が折れてしまいます。
そこで、本来の堅牢な家具作りのように、接合面に溝を彫り、木と木を噛み合わせる「臍(ほぞ)組」を施して強力に接着しました。
正面下の割れ落ちた部分もパズルのように接合。元々割れていたことを知っている人が目を凝らしても分からないレベルまで、美しく、そして強く蘇らせました。
Case: プロオーディオ業者様ご依頼 - マルチダクトエンクロジャー特注製作
①詳細な設計図のご提供
②特殊素材の加工・組立
③塗装完了・納品
「音のプロ」×「木のプロ」の協奏曲
餅は餅屋。それぞれの領分で最高を尽くす。
オーディオ専門業者様より、「マルチダクトエンクロジャー」という特殊な構造を持つスピーカーボックスの製作をご相談いただきました。
製作にあたり、私たちは正直にお伝えしました。「図面通りに木を組むことはできます。しかし、私たちは家具屋ですので、最終的な『音』の品質については責任を負えません」。
すると業者様はこう仰いました。
「音に関しては私たちがプロです。後できっちり調整しますから、安心して『設計図通りの完璧な箱』を作ってください」
この言葉で、迷いは消えました。私たちは「木のプロ」として、最高の仕事をすることに集中しました。
特殊素材の調達と、精密な加工
製作の最大のハードルは「素材」でした。指定された板材は、一般的な家具製作では使用しない特殊な密度や規格のもので、入手は困難を極めました。
しかし、独自のルートを駆使してなんとか調達。複雑な内部構造を持つマルチダクトも、家具職人の技術で寸分の狂いなく組み上げ、塗装まで美しく仕上げました。
プロ同士が信頼し合い、技術を掛け合わせることで生まれた、特注の一台です。
使い捨ての時代は終わりました。ヴィンテージオーディオを修理して使い続けることは、
資源の浪費を防ぎ、文化資産を守る大切なアクションです。
SDGs目標12「つくる責任 つかう責任」
イー家具屋は、オーディオ修理を通じて循環型社会の実現に貢献します。
「音を奏でる芸術品」への敬意と挑戦
重量級の名機、その輝きを取り戻す工程
ご依頼いただいたのは、英国の名門オーディオブランド「TANNOY(タンノイ)」のフラッグシップモデル、Westminster(ウェストミンスター)。 複雑なホーン構造を持つこのスピーカーは、家具という枠を超えた「芸術品」です。
まず直面したのは、その圧倒的な「重量」。移動や作業には大きなリスクを伴うため、お客様と綿密に打ち合わせを重ね、細心の注意を払って搬入しました。
突板の剥がれ・シミを根気強く修復
状態を確認すると、経年による塗装の劣化だけでなく、美しいウォールナットの突板(つきいた)に「割れ」「剥がれ」「深いシミ」が多数見られました。 これらを隠すだけの厚塗りは、音響的にも見た目的にも許されません。
長年の時を経たスピーカーが、再び威厳ある輝きを取り戻しました。
音と共に美しさも蘇った大切な一台、これからも末永くご愛用ください。